生産技術の仕事をしている三浦です。
車載電子部品メーカーで約20年、接着やポッティング、放熱材の塗布工程を担当してきました。
駆け出しのころの塗布工程は、ほとんどが手作業でした。
電子天秤で主剤と硬化剤を量り、紙カップの中でへらで混ぜ、シリンジに詰めて塗る。
その工程を装置に置き換えたとき、現場で何が変わったのかをまとめます。
手で混ぜていたころの困りごと
手作業の混合でよく起きていたのは、次のようなことです。
- 量り間違いで混合比がずれる
- カップの底や壁際に、混ざっていない樹脂が残る
- へらで混ぜるときに泡を巻き込む
- 混ぜた樹脂が可使時間を過ぎ、使い切れずに捨てる
困るのは、混ざり具合が目で見て分かりにくいことでした。
兵神装備の技術コラム「2液混合装置」にも、2液性は本当に混合できているかが非常にわかりにくく、主剤と硬化剤の色が似ていることもある、と書かれています。
装置に替えて変わったこと
計量混合吐出装置では、ポンプが2液を決まった比率で送り出します。
ノズルの手前のミキサで混ぜてから吐出するので、混ぜた樹脂を作り置きしません。
| 項目 | 手作業 | 計量混合吐出装置 |
|---|---|---|
| 混合比 | 作業者の計量しだい | 装置が毎回同じ比率で送る |
| 泡 | 混ぜるときに入りやすい | 開いた容器で混ぜないので入りにくい |
| 材料のロス | 可使時間切れで捨てる分が出る | 混ぜるのは必要な量だけ |
| 樹脂に触れる場面 | 計量・混合・充填のたびに触れる | カートリッジやタンクの交換時くらい |
導入前に、動きを映像で見ておくのもおすすめです。
ナカリキッドコントロールが公開している放熱用ギャップフィラーの計量・混合吐出のデモでは、2液の放熱材を協働ロボットで塗る様子が紹介されています。
作業者の手が樹脂に触れにくくなった
エポキシ樹脂や硬化剤には、皮膚にかぶれを起こすものがあります。
学術誌「Industrial Health」に載った2002年の報告では、電子部品工場で1液性のエポキシ接着剤を扱った54人のうち15人が、仕事が原因の皮膚炎と診断されています。
症状は、ディスペンサへの接着剤の充填や、手作業での塗布と深く関わっていました(論文の要旨)。
厚生労働省は、皮膚等障害化学物質に当たる物質を扱う作業で、不浸透性の保護具の使用を義務づけています。
対象物質の一覧と保護具の選定マニュアルは「化学物質による労働災害防止のための新たな規制について」のページで公開されています。
装置を入れても手袋は外せません。
使う樹脂のSDSと一覧は照らし合わせておきましょう。
装置にしても残る仕事
- ミキサの交換と、交換直後の捨て打ち
- 長く止めたあとのミキサの詰まり確認
- 樹脂を替えたときの吐出量と硬化具合の確認
放熱材のようにフィラーが多い樹脂は、条件出しに時間がかかります。
メーカーのテストルームで実際の樹脂を流してから決めると、立ち上げが楽になります。
まとめ
手作業の混合を装置に替えて変わったのは、混合比が人によってぶれなくなったこと、泡や材料のロスが減ったこと、作業者の手が樹脂に触れる場面が減ったことです。
手で混ぜている工程があるなら、まずは1日に何回計量しているか、どれだけ捨てているかを数えてみてください。
装置にする価値があるかどうかは、その数字を見れば判断しやすくなります。
最終更新日 2026年11月6日 by hlodgi



